
1960年代にジャマイカで誕生した音楽、
「スカ(ska)」に興味を持ったのは
たしか17歳の頃だったと思う。
その頃といえば図書館やレンタルCD店に通っては
ロックやポップスを無節操に聴き漁っていたのだが、
なぜか「ska」の3文字が、やけに気になった。
当時すでに日本にもスカ・バンドは存在した。
それは日本のスカ・バンドの草分け的存在、
「スカ・フレイムス」と、
おなじみスカパラこと
「東京スカパラダイスオーケストラ」
の2バンド。
(ちなみに両バンドとも今なお健在。
これは本当にすごいことだと思う。)
僕も最初はこの2バンドのアルバムを
(レンタルで借りて)聴いていたのだが、
やはり「オリジナル・スカ」が聴いてみたい、と
思うようになり、輸入レコード店に行くたびに、
「ska」のコーナーをチェックするようになった。
するとそこには
カラフルでゴキゲン、そして
どこか素朴な雰囲気を持ったジャケットのレコードが
次から次へと並んでいた。
こんなにかっこいいジャケットのレコードが
あるのか・・・、と圧倒されてしまった。
どれを買ったらいいのか、なんて
最初は全くわからなかったが、
とにかく1枚買ってみよう、ということで
一番カラフルでかっこいい、そして可愛いデザインの
「SKA-AU-GO-GO」というレコードを買った。
盤面に針を落とした瞬間、
今までに聴いたことのないような音が聴こえてきた。
とにかく、音質が悪くて
ジャリジャリ、バチバチとノイズが入るのだが、
ベースの音が太く、温かい。
そして陽気だけど、どこか醒めているような感じ。
それはまさに、当時の僕が聴きたかった音楽だった。
古い音楽だけが持つ、
何とも言えない雰囲気。
今思うと、
僕が「ビンテージサウンド」の虜になったのはこの時だった。
その後「スカタライツ」や「STUDIO ONE」、
「JACKIE MITTOO」といったキーワードを手がかりに、
僕はジャマイカン・ヴィンテージミュージックの底なし沼に
どっぷりと浸かっていく。
そして未だにそこから抜け出せない。

確か中学2年生の時だったと思うが、
とある「インポートショップ」に恐る恐る入ってみた。
そのお店は主にアメリカ製の洋服と雑貨を扱うお店で、
当時の僕が一人で入るには、ちょっと勇気が必要だった。
いざ入ってみると、
そこは当時の僕にとってはまさに「別世界」で、
置かれている品物すべてがキラキラと輝いて見えた。
自分が着ている服、
持っている物とは何か違う匂いがした。
「<本物>の匂いがする・・・」
直感的に、そう思った。
その日はスウェットを1着買った。
そこには「ABC STORE」(ハワイの雑貨店)のロゴが
プリントされていて、
「こんなかっこいい洋服があるのか・・」と、
とにかく感激した。
そして襟元のタグには
「Made in U.S.A」の文字が
誇らしげにプリントされていた。
この時から僕は
アメリカン・カジュアル、
アメリカン・プロダクツの虜になってしまった。
そして未だに、そこから抜け出せない。

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