「もうすぐハロウィン!」
「で、ハロウィンっていつなの?」 「え?えーっと、知らない・・・。」 そんな会話があちこちで聞かれる今日この頃。 さて、クリスマス、ヴァレンタインデー、と 様々な海外の行事を独自の視点で 都合よくアレンジしてきた 日本の思想なきお洒落ピープル。 行事から宗教や思想を徹底的に拝し、 「恋愛」というスパイスで味付けしてしまう その手腕は、見事の一言に尽きる。 そんな日本のお洒落ピープルが、 ハロウィンという題材を、 今後どのように料理していくのか? 興味は尽きない。 age of vintageでは、 ハロウィン未来予想図を、 ここに描いてみたい。 20XX年、秋。 いつの間にか日本にも定着したイベント「ハロウィン」。 ハロウィンといえば仮装。 いつしか、日本においても ハロウィンでの仮装は当たり前になり、 街行くお洒落ピープルは、 みんな仮装ファッション。 さらにそこから日本独自の慣習として、 思いを寄せる異性に「仮装デート」を申し込む、 というのが、ひとつのイベントとして定着していった。 そして「仮装デート」の際には 仮装した者同士は、絶対に自分の正体を明かさない、 そして相手の正体をばらさない、というルールが定着していた。 たとえ正体バレバレでも、 相手が「アントニオ猪木」の仮装をしていたら その日に限っては「猪木さん」と呼ばなくてはいけない、 それがルールになっていた。 そんな20XX年10月下旬のある日、 N美(20歳)はアルバイト先の カフェ&レストランでの仕事を終え、 店の裏口から出ようとした。 その時ふと、 持っていた「ディーン&デルーカ」の トートバッグに入っていた 一枚の手紙に気づく。 「ん?」 手紙を開くとそこには・・・ 10月31日19:00に、 Sコーヒーショップで待ってます。 金八先生より こんな文章が・・・。 「ハロウィン仮装デートの申し込みっ!」 バイト先の男子は、というと、 ホール3名、キッチン3名の計6名。 その中の誰かが、3年B組金八先生に仮装して N美にデートを申し込んできた。 果たして金八の正体は? いや、いくら鈍感なM美でも、 6名の男子のうち、 誰がこの手紙の差出人かは、察しがつく。 同じホールのY太(22歳)。 この店の男子の中では、一番仲がいいけど、 でもまさか、私のこと好きだったなんて・・・ 全然気づかなかったよ。 胸の鼓動が、早くなる。 「行くの?行かないの?」 「えっ、行く。」 「付き合うの?付き合わないの?」 「えっ、付き合う。」 自問自答を繰り返すN美。 いや、答えはもう出ているか。 「好きなの?好きじゃないの?」 「すっ、す、す・・・」 あっ、でも、 仮装、どうしよう・・・。 相手は金八。 じゃあ三原じゅん子? いやいや、古いよ。 どうしよう・・・。 そして当日・・・・ 結局いいアイデアが浮かばぬまま、 東急ハンズで売ってた「マリリン・モンロー」で 無難に仮装したN美は 19時を(わざと)5分遅刻して 待ちあわせのSコーヒーショップに・・・。 そこには案の定、 金八ファッションのY太。 ツイードのジャケットの中には エンジのベスト、そして長髪。 でもジャケットは細身、丈は短く ツイードはもちろん「ハリスツイード」。 ベストもタイトで、金八なのに何故かお洒落。 カッコイイかも。 「Y太・・・いや金八先生、お待たせしました。」 さて一方のY太だが、 何故かN美を見て驚いた様子。 「あれっ、何でN美・・・じゃなくてマリリン?」 そしてN美の持っていた 「ディーン&デルーカ」の赤いトートバッグを見て、 「あっ,しまった。」 ![]() 実はY太、いや金八先生、 N美ではなく、同じバイト先のK子に デートを申し込むつもりで お店の裏のスタッフ用荷物置き場に並んでいた 「ディーン&デルーカ」のトートバッグに 手紙を入れたのだが、 K子の黒のトートバッグではなく、 その隣に置いてあったN美の赤のトートバッグに 手紙を入れてしまったのであった。 マ、マズイ・・・。 動揺した金八先生、 突然、 「ぼ、ぼ、僕は知りましぇーん。」 そう叫びながら、 店からダッシュで逃げていった・・・。 「えっ,ちょっと、どういうこと?」 呆然とするマリリン・モンロー。 次の日、 「金八はオレじゃない」とばかりに、 何事もなかったように N美と接しようとしたY太であったが、 それは無理な話・・・。 すでにN美は他の女子にも話し済。 もちろんK子にも・・・。 こういう時だけは すぐに一致団結する女子達に 完全に無視されたY太、 結局和解できぬまま、店を去ったという・・・。
by boppuccino
| 2007-10-30 23:59
| story
|
Tetsuro Yafune
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