Sakura drops keep fallin' on her cheek
バールに灯ともる頃、
そこでは今日も様々な人間模様が、
繰り広げられているのであった・・・・。
その日の夕暮れ時、僕は
とあるコーヒーショップのレジ近くの席で、
コーヒーを飲んでいた。
すると、一人の若い女性客が店内に入って来た。
店員「こんばんはー。あっ,エリナ。」
客「あ、アキコ。久しぶりー。」
店員「久しぶりー。元気?」
客「うん。みんなも元気?店長代わったんだって?」
店員「うん。つい最近ね。」
客「よかったね(笑)。」
店員「ウフフ(笑)。」
どうやら客は以前この店で働いていたようだ。
そして店員はアキコ、客はエリナというらしい。
アキコ「今日は一人?」
エリナ「えっ?あ、うん。」
アキコ「何か飲むでしょ?」
エリナ「う、うん。じゃあアメリカーノ。アイスで。」
アキコ「え、渋いね・・・。サイズは?ショートでいい?」
エリナ「あ、えっと、グランデで・・・。喉かわいちゃって。エへ。」
アキコ「でかっ。外人か! あ、私もうすぐ休憩だから、待っててよ。」
エリナ「あ、ごめん、ちょっと急いでるんだ。またメールするね。」
そう言って、
エリナは出来上がったアメリカーノ(お持ち帰り)を持って
ささささっと立ち去った・・・。
「怪しい・・・。さては・・・。」
そう思ったアキコはここで店長に
「あの、私ちょっと、テラス席掃除してきます。」
と言って、ハンディほうき&チリトリを持って店の外へ。
すると案の定・・・・
見知らぬ男と手を繋ぎ、
遠ざかってゆくエリナの後ろ姿が・・・。
アキコ「やっぱり。エリナ彼氏出来たんだ・・・。」
アイス・アメリカーノ(大)を
チュッチュッと交互に飲みながら消えてゆく二人を見届け、
無性に寂しくなったアキコ、
そのブルーな気持ちを打ち消すため、一心不乱に
道端に散った桜の花びらをハンディほうきでかき集めるが、
集めても集めても、
花びらは次から次へと散ってくるのであった。
「もう、やだ・・・。」
意味もなく悲しい。
何故なのかもわからない。
桜の花が、あまりにもキレイだから?
いつの間にか、頬をつたう涙・・・。
「あっ、いけない。戻らなきゃ・・・」
ふと我に返ったアキコ。
新しい店長、まだあんまりよく知らないし、
怒られるかも・・・。
涙もふかずに、あわてて店内に戻り、
おそるおそる、店長に
「あの、す、すいません。ちょっと時間かかっちゃって。」
と言うと、
店長はアキコの顔を見て、何故かいきなり爆笑。
「ギャハハ。アキコちゃん、顔に花びらついてるよ。」
涙で濡れたアキコの頬には、
飛んできた桜の花びらが、
大量に付着していたのであった。
他のスタッフも爆笑。
あわてて鏡を見たアキコも
「やだー、なにこれー。」
と爆笑。
そして、
「新しい店長、優しい人みたい。よかった・・・。」
春。
誰もが新しいスタートだよ。
そして・・・出会いの予感だよっ。
「よしっ、私もがんばろっ。」
と気分を新たにしたアキコ。
が、しかし・・・・
休憩時間に携帯をチェックすると、
エリナからメール。
アキコ、お疲れっ。
さっきはありがとう。
実は私、彼氏できたんだ。
今日も一緒にいたんだけど、
彼が「恥ずかしいから外で待ってる」って言うから・・・。
ゴメンね。
今度紹介するね。
「いちいちメールすんなっ。わかってるよ・・・。」
再びブルーになったアキコであった。
<CD of the day vol.26>
Sergio Mendes and Brasil'65/In Person At El Matador!
前回紹介したマルコス・ヴァーリのアルバムは
アメリカ市場向けに作られた一枚であったが、
もともと、すでにアメリカで活躍していた
先輩のセルジオ・メンデスの紹介があったらしい。
そして一時はセルジオ・メンデスのグループ
「Brasil'65」にマルコス・ヴァーリが
加入する話もあったとか。
(結局実現はしなかったようだが・・・。)
他にも若き日のエドゥ・ロボのアメリカデビュー盤を
プロデュースするなど、
面倒見のいい男、セルジオ・メンデス。
今やブラジル音楽界の重鎮プロデューサーだが、
もともとはジャズ・ピアニストであり、
このライブ・アルバムでは彼の過不足のない、
趣味の良いピアノ・ソロが堪能できる。
「Ten do de mim」でのピアノソロが特に好きで、
耳コピーしてよく練習した。
by boppuccino | 2007-04-05 23:59 | story