shaken but no shakashaka ?
バールに灯ともる頃、
そこでは今日も、様々な人間模様が
繰り広げられているのであった。
その日の夕暮れ時、僕は、
緑の看板でおなじみのコーヒーショップに入った。
すると店の中から何故か、
「シャカシャカ・・・シャカシャカ・・・」
というリズミカルなシェイカーのサウンド。
「あれ、今日、サンバカーニバルだっけ?
・・・ってここは浅草かっ。」
と一人でツッコミを入れつつレジに向かい、
顔なじみのキレイなお姉さんに
「こんばんは。
あの、さっきシャカシャカしてたやつ、何ですか?
シャカシャカポテト?」
とギャグ交じりに質問。
お姉さんはギャグは完全無視、でも笑顔で
「ああ、アレですか?シェイクンですよ。ウフフ。」
へえ。シェイクン・・・。
お姉さんによると
毎年夏になると登場する「シェイクンティー」には、
「シェイクンレモンパッションティー」と
「シェイクンレモングリーンティー」があるらしい。
ハーブティーとレモネード、それに氷を、
バーテンダーのようにシェイカーでシャカシャカ。
すると、シュワシュワッという泡がナイスな口当たりの
ソフトドリンクになるという。
「シャカシャカでシュワシュワでウフフ」
夏にピッタリですね。
が、しかし・・・
「フラペチーノ」の影に隠れて、
ややマイナーな存在であることが惜しまれる。
さて、そんなシェイクンティーを飲み終え、
客席でボーッとしていると、
店内には新たなお客さんが・・・。
それは女子高生二人組であった。
「すいません、シェイクンレモンパッションティー。
ショートで。それで・・・、
シェイクしないで欲しいんですけど・・・。」
えっ、何で?
シャカシャカしないとシュワシュワしないって。
それじゃ意味ないって。
美味しくないって。
レジのお姉さんも
「えっ,いいんですか?
あまりオススメはできませんが・・・。」
と困惑気味。
するともう一人の女子高生が言った。
「あっ,いいんです。
実はこの子、今から好きな男の子にコクるので・・・。」
何と、
シャカシャカでシュワシュワでウフフならぬ、
ドキドキでソワソワで胸キュン・・・。
「シェイクしないシェイクンティーを飲む・・・」
それは、
「シェイクしない=振られない」
ということで、
今、女子高生を中心に、
告白前の「フラれないジンクス」として
密かに流行中だという。
へえ・・・。
確かに、カツ丼食べるよりはいいかも。
さて、翌日の夕暮れ時、
また同じ店で一人でシェイクンティーを飲みながら
ボーッとしていると、
昨日の女子高生がフラフラと、
今度は一人でやってきた。
「シェイクンレモンパッションティー。
サイズは一番デカいやつ。
ガンガンにシェイクして下さい。」
そして一気飲み。
そっか、ダメだったか・・・。
僕は帰り際、
彼女に気づかれないように、
彼女の席に、一冊の本を置いて去った。
これ読んで、ガンバレ。
by boppuccino | 2007-07-25 23:59 | food&drink