reggae magic

初めて買った60年代ジャマイカの
オリジナル・スカのレコードは
「SKA AU GO GO」だった,と
かなり前に書いたが,
その中に1曲,オルガン・インストゥルメンタルの
ナンバーが収録されていた。

その曲はバート・バカラック「Wives and lovers」の
カヴァーであったが,
オルガン特有の音の「揺れ」が
「グアァァーン」いう感じで,
今までに聴いた事のないような音だった。
録音状態や,盤面の状態が悪いのも
その「揺れ」にさらに拍車をかけていたと思う。

そして気がつけば,
そんなチープで怪し気な
オルガン・サウンドの虜になっていた。

そのオルガンを弾いているのはどうやら
ジャッキー・ミットゥー(Jackie Mittoo)であるらしい,
ということが後からわかった。

ジャッキー・ミットゥーは
あの「スカタライツ(The Skatalites)」の
オリジナル・メンバーとして
そのキャリアをスタートさせた。
彼は1948年生まれで,
スカタライツが結成されたのは1963年,
つまり当時まだ15歳の若さであった。
もちろんスカタライツの中でも最年少だ。

スカタライツでは主にピアノを弾いていたが,
1965年にスカタライツが解散というか分裂してしまうと,
その後の彼はオルガンをメインに使った
インストゥルメンタルのアルバムを多数発表する。
(ちなみにインストゥルメンタルとは,
歌の入っていない楽器だけの演奏のことです。)

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ジャマイカン・ミュージックがちょうど
スカからレゲエへと移ってゆく時期に,
オルガン(特にハモンド・オルガン)のサウンドは
ジャッキー・ミットゥーのトレードマークになっていった。

そして僕はジャッキー・ミットゥーが奏でる
オルガン・サウンドの中毒になってしまい,
彼のレコードをお店で見つけたら,
必ず買うようにしていた。

ところでジャッキーは
「IN LONDON」「EVENING TIME」など初期の作品ではおそらく
「FARFISA」社のコンボ・オルガンを使っているようだ。

アルバム「KEEP ON DANCING」の
ジャケットにも写っている、
白鍵がグレーで黒鍵が白の、
チープなルックスのイタリア製オルガン。
サウンドも、何ともチープな味わいがある。

そしてアルバム「MACKA FAT」あたりから
おなじみハモンド社のオルガンを使うようになり、
ソウル・ミュージックの影響が顕著に現れるようになる。

それ以降の彼がずっと使い続けるハモンドオルガン。
やはりジャッキーといえばハモンド。
その温かく太いサウンドは、本当に素晴らしい。

そんなジャッキー・ミットゥーは
相当な酒飲みであったらしく,
1990年には42歳の若さで,この世を去ってしまった。
スカタライツの中では最年少でありながら,
他のメンバーより先に逝ってしまうなんて・・・。

さて,普段はピアノを弾いている僕ですが
そんなわけでオルガン・サウンドには
特別な思い入れがある。

僕のファーストアルバム「ダウンビート」の最後に
「ワールドカップ」という曲の
オルガン・インストゥルメンタル・バージョンを収録した。

「ワールドカップ」という曲は
僕のオリジナルだがリズムはレゲエ。
そのオルガン・インスト版というのはもちろん,
ジャッキー・ミットゥーに捧げるつもりで収録した曲だ。

音色もプレイも,かなりジャッキーを意識したつもりなので,
興味のある方はぜひ聴いてみて下さい。

ジャッキー・ミットゥーの早すぎた死を惜しむと共に,
偉大なキーボード奏者に改めて敬意を表したい。
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by boppuccino | 2006-09-15 02:02 | sounds
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